わかりやすく書く事の難しさ

今、国の障害者福祉に関する検討部会の委員をしている(内閣府障がい者制度改革推進会議 総合福祉法部会委員)

ちなみにこの会議、内閣府が所管だが、総合福祉法部会は厚労省が事務方なので、HPが違ってややこしい。なので、リンクをそれぞれ張っておきました。

この会議が大変なのは、毎回膨大な意見書を提出している、ということ。まあその為に引き受けたのだから仕方ないけれど、結構骨がおれる。しかも、様々な障害の方に合わせた情報保障もしなければならないので大変だ。点字や手話通訳も勿論行っているが、知的障害の当事者の為に、なるべく資料はわかりやすく書き、ルビも振ることが求められている。

で、同じ部会メンバーの知的障害当事者のNさんに教えてもらったのだが、単純にルビを振るだけではダメ、とのこと。わかりにくい表現やまだるっこしい表現ではなく、簡単に理解出来る表現に変えた資料を作らないと、理解してもらえないそうだ。確かに、知的障害者の団体が作った権利条約の本(「わかりやすい障害者の権利条約」)は実にわかりやすい。学生への講義や一般の方向けの講演でも、この本を使う方が皆さん、すっと権利条約の事を理解して下さる。ユニバーサルデザインと通底していて、知的障害のある方にわかりやすいということは、他の人にとってもわかりやすいのだ。

で、そういう能書きを言っていて、己の意見書はわかりやすいか、という事が当然、問題になる。ちょうど明日の部会の意見書は、トルコの出張の前後で必死に書いた。まだまだかりにくい部分もあるかもしれない。でも、自分なりに工夫して、なるべくわかりやすく書いてみたので、下でご参考までに、添付しておきます。(かなり長く、込み入った論点なで、興味のある方だけ、どうぞ)

これを書きながら思ったのだが、簡単に言う、ということは、物事の本質を突かなければならない、ということだ。オブラードに包んだ婉曲表現や、ストレートに言わない皮肉は一切ダメ。また、難しい概念やカタカナ表現もダメ。誤魔化さず、ストレートに、伝わるように、しかも過不足無く書くことは、本当に難しい。

という言い訳をした上で、まだ未熟者の発展途上の意見書をつけておきます。ご笑覧くださいませ。

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(第5回総合福祉部会)「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見

提出委員   竹端 寛      

 

分野A 法の理念・目的・範囲

項目A-1 法の名称

論点A-1-1) 法の名称についてどう考えるか?

○結論

○理由

 

項目A-2 誰の何のため

論点A-2-1) そもそも、この総合福祉法は、誰の何のためにつくるのか?

○結論

だれのため?: 地域でくらす上で何らかの手助けを求めているすべての障害者

なんのため?: 地域の中であたり前(他の者とのびょうどう)のくらしをする上で、必要な手助けをきちんとおこなうため

 

 

 

○理由

 地域の中であたり前(他の者とのびょうどう)のくらしをしたいのに、それができない障害者はたくさんいます。障害のしゅるいや重い・軽いでわけずに、本人が必要としているしえんがなされ、自分らしいくらしが地域の中でできるために、あたらしい法をつくるべきです。

 

 

 

論点A-2-2) 憲法、障害者基本法等と「総合福祉法」との関係をどう考えるか?

○結論

 憲法は、だれにでも基本的人権は守られる、という理念を示している。

 障害者基本法は、障害者が他の人とおなじように基本的人権を持っていること、でも人権を守るためには何らかの手助けもしなければならないという目的が書かれている。

総合福祉法は、憲法の理念や障害者基本法の目的をじっさいに守るための手だんとなる法

 

○理由

総合福祉法は、理念や目的をじつげんするための具体てきな方法が書かれた法です。

 

 

 

 

項目A-3 理念規定

論点A-3-1) 障害者権利条約の「保護の客体から権利の主体への転換」「医学モデルから社会モデルへの転換」をふまえた理念規定についてどう考えるか?

○結論

障害がある人も、他の人と同じ(平等の)権利を持っているし、それは守られなければならない、という理念は法の中で書いておくことは大切です。

 

 

 

○理由

 1.障害者だからといって、しせつや病院でくらさなければならないのはおかしい。2.障害があっても、地域であたりまえ(他の人との平等)の暮らしをする権利をもっている。3.この権利はどんなに重い障害がある人にも保しょうされるべきだ。この1~3を国民みんなでわかちあう必要があります。

 

 

 

論点A-3-2) 推進会議では「地域で生活する権利」の明記が不可欠との確認がされ、推進会議・第一次意見書では「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有することを確認するとともに、その実現のための支援制度の構築を目指す」と記された。これを受けた規定をどうするか?

○結論

 「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活」ができない理由をなくす支援の制度を作ることを、法の目的に書くべきです。

 

 

 

○理由

 「自立した生活」ができないのは、いろいろな支援がたりないからです。今のやりかたを変え、医りょう的なケアや24時間の介じょなどに必要なお金も人も地域に向ければ、どんなに重いしょうがいの人も、地域であたりまえ(他の人との平等)の暮らしができます。そのことを、法の目的として書いて、守るべきです。

 

 

 

論点A-3-3) 障害者の自立の概念をどう捉えるか?その際、「家族への依存」の問題をどう考えるか?

○結論

 支援をうけた自立、という考え方を、法の中でもひとつの柱にすべきです。

 

 

 

○理由

 自立には4つの自立があると言われています。1.けいざい的(お金の)自立。2.身体能力の自立。3.自己決てい・選たくの自立。4.個性やその人らしさの自立。1や2の自立がむずかしい障害者が大切にしてきたのは、自分で決める・選ぶという3の自立でした。でも、それが苦手な障害者もいますが、だれだって個性やその人らしさはあります。1や2ができないから、大人になっても家族にずっと頼らなければいけないのは、本人もかぞくも苦しめます。3や4の自立を支えるのが、総合福祉法で大切なところです。

 

 

 

項目A-4 支援(サービス)選択権を前提とした受給権

論点A-4-1) 「地域で生活する権利」を担保していくために、サービス選択権を前提とした受給権が必要との意見があるが、これについてどう考えるか?

○結論

 必要なサービスを選ぶ権利と、必要なサービスを受ける権利のふたつは特に必要です。

 

 

○理由

 今までふたつの権利を守るとは法のなかに書かれていませんでした。だから、重い障害があるから、○○だから、という理由をつけ、地域でのくらしをあきらめ、施設や病院でくらすしかない、と言われてきました。これはさべつです。このさべつをやめるためには、地域であたり前(他の人との平等)のくらしをする上で、必要なサービスを選ぶ権利と、必要なサービスを受ける権利のふたつを法で保しょうすべきです。

 

 

 

論点A-4-2) 条約第19条の「特定の生活様式を義務づけられないこと」をふまえた規定を盛り込むか、盛り込むとしたらどのように盛り込むか?

○結論

 「障害をりゆうに、くらす場所やくらし方が限ていされてはならない。今、入所しせつや精神びょういんに入っている人みんなに聞きとり調さをして、出たい人は出られるようにする。」という地いき移行についての規定をいれる。

 

○理由

 どんなに重い障害がある人にも、地域でのあたりまえ(他の者との平等)のくらしを保しょうすること、そのために必要な介じょや医りょう的なケアも地域でととのえること、がひつようです。そうしないと、入所しせつや精神びょういんといった「特定の生活様式」でしかくらせないと「義務づけら」れるひとが出てきます。それをしないための、具たい的な規定がひつようです。

 

 

論点A-4-3)  障害者の福祉支援(サービス)提供にかかる国ならびに地方公共団体の役割をどう考えるか?

○結論

 国は福祉しえん(サービス)提供の理念やわくぐみ、障害者に守られる権利をつくり、それがちゃんと守られているかをチェックする。それに必要なお金をよういする。

 地方公共団体は、その地域でくらす障害者と話し合いながら、国で決めた理念やわくぐみ、障害者に守られる権利を実げんするためにはたらく。

 

 

○理由

 障害のある人が、地域であたり前(他の人との平等)のくらしをするためには、国と地方公共団体のどちらの役わり分たんも大切です。地域で障害者とであう地方公共団体は、障害者の声をよく聞きながら、障害者の権利をまもる仕事をするべきです。国は、まもるべき権利は何かを決める、まもるためのやり方について指どう・助げんする、まもっていない人・組織にまもるよう働きかける、まもるための予算を用いする役わりがあります。

 

 

項目A-5 法の守備範囲

論点A-5-1) 「総合福祉法」の守備範囲をどう考えるか?福祉サービス以外の、医療、労働分野、コミュニケーション、また、障害児、高齢者の分野との機能分担や(制度の谷間を生まない)連携について推進会議の方向性に沿った形でどう進めていくか?

○結論

 これらのもんだいは、推進会議のみんなといっしょに話をする場所をつくるべきです。

 

 

 

○理由

 推進会議でもこれらの問題について話しあっています。部会は推進会議の方向の具たい化の役わりをもっています。なので、部会だけでは決められない内ようは、推進会議のみなさんと、課だいごとに集まって話をする場をもつべきです。

 

 

 

 

論点A-5-2) 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法、その他の既存の法律のあり方、並びに総合福祉法との関係についてどう考えるか?

○結論

 障害者福祉の3つの法(身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法)はなくすべきです。精神保健福祉法のうち医りょうの部分は医りょう法に入れるべきです。児童福祉法は障害をもつ子どもをさべつしない内容として高めるべきです。ただ、入所施設にかんする部分は、地域でのあたり前(他の人との平等)のくらしの実現に反する部分もあるので、考えなおすべきです。

 

 

○理由

 いかなる障害の人にも、本人が求める支えんをする法ができたら、これまでの3つの法はいらなくなります。ただ、急になくすのはむずかしいなら、5年か10年かけてなくす、と決めたらいいと思います。また精神保健福祉法と児童福祉法のなかには、「特定の生活様式の義務づけ」につながるところがあるので、それはすぐなくすべきです。

 

 

項目A-6 その他

論点A-6-1) 「分野A 法の理念・目的・範囲」についてのその他の論点及び意見

○結論

 

○理由

 

 

 

 

分野B 障害の範囲

項目B-1 法の対象規定

論点B-1-1) 推進会議では、障害の定義について、「社会モデルに立った、制度の谷間を生まない定義とする」ことが確認されている。これをふまえた、「総合福祉法」における障害の定義や支援の対象者に関する規定をどう考えるか?

○結論

 下の対象と選び方で決める

対象:身体的、精神・知的障害にともない、他のものとの平等にもとづいて、社会にきちんとてきせつに参加することができない大人・子ども

選び方:この法で決められたサービスが必要だと、支きゅう決ていの時に認められること

 

○理由

 だれを「支援の対象者」にするか、にあたって、障害名できめない。だから、法が対象にする障害とは「○○障害」である、とは言わない。本人のニーズにもとづいて対象となる人をきめる。

論点B-1-2) 「自立支援法」制定時の附則で示されていた「発達障害、 高次脳機能障害、難病(慢性疾患)」等も含みこんだ規定をどうするか?制限列挙で加えるのか、包括的規定にするのか?

○結論

 B-1-1で書いたように「身体的、精神・知的障害にともない、他のものとの平等にもとづいて、社会にきちんとてきせつに参加することができない大人・子ども」という、困っている障害者がみんな入る規定にする。

 

 

○理由

 どれかだけ選ぶやり方は、必ず別の不幸なひとがあらわれるので。

 

 

 

項目B-2 手続き規定

論点B-2-1) 障害手帳を持たない高次脳機能障害、発達障害、難病、軽度知的、難聴などを有する者を排除しない手続き規定をどう考えるか?

○結論

障害手帳を持たないけど、障害ゆえに生活のしづらさをもつ人が、法で決められたサービスを利用したいときは、その理由を書いた医師の診だん書などで証めいできたら、対象者にする。

 

 

○理由

 困っていると誰がみてもわかる証めい書があればよいので。

 

 

 

項目B-3 その他

論点B-3-1) 「分野B 障害の範囲」についてのその他の論点及び意見

○結論

 

 

 

 

○理由

 

 

 

 

 

分野C 「選択と決定」(支給決定)

項目C-1 

論点C-1-1) 「必要な支援を受けながら、自らの決定・選択に基づき、社会のあらゆる分野の活動に参加・参画する」(意見書)を実現していくためには、どういう支援が必要か?また「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」についてどう考えるか?

○結論

 どんなに重い障害のある人でも、「セルフマネジメント」「支援を得ながらの自己決定」のどちらかはできる。この理念を実現するための、支きゅう決ていのやり方を考えるべきである。

 

○理由

 重症心身障害をもった人でも、本人中心の個べつ支援けいかくを作る中で、「支援を得ながらの自己決定」ができている。また、それは、本人が中心である、といういみでは、セルフケアマネジメントと同じ方向のものである。そして、それは今の日本でも、十分にやることができる。そのことは、参考資料(「地域主導による障害者支援プロセスのケーススタディ」研究報告書)にくわしく書かれている。

 

 

論点C-1-2) 障害者ケアマネジメントで重要性が指摘されてきたエンパワメント支援についてどう考えるか?また、エンパワメント支援の機能を強化するためにはどういった方策が必要と考えるか?

○結論

 10万人に1つ(市町村もしくは圏域単位)くらい、障害者のエンパワメントをすすめるため、行政がお金を出して、障害者が運営する場所をつくる必要がある。

 

○理由

 障害のある本人は、自分の必要なサービスをほんとうは知っているはずだ。だが、これまでその声はきちんときかれてこなかったし、誰かにまもられたくらしをしていると、それに気づかなくなる。なので、それに気づき、自信をとりもどすため、ピアカウンセリングやピアサポートなども行われる、なかまの集まる場が必ようである。これは自立生活センターやアメリカのリージョナルセンターのように当事者主たいで運えいされ、行政はほじょ金をだすべきだ。

 

 

論点C-1-3) ピアカウンセリング、ピアサポートの意義と役割、普及する上での課題についてどう考えるか?

○結論

 C-1-2の場のなかですべき。

 

○理由

 C-1-2のりゆうとおなじ。

論点C-1-4) 施設・病院からの地域移行や、地域生活支援の充実を進めていく上で、相談支援の役割と機能として求められるものにはどのようなことがあるか?その点から、現状の位置づけや体制にはどのような課題があると考えるか?

○結論

 まず、相だん支えんをする専もん家は、施設や病院などのサービス提きょう事ぎょう者、行政から自立している必要がある。そうしないと、本人の相談に本当によりそうことはできない。そういう自立した相だん支えん員が、地域移行に関わるということを法でもりこむべきだ。また、相だん支えん員が自立してはたらくための予算を国はよういするべきだ。

 

 

○理由

 事ぎょう者には、その事ぎょうが成り立つということ、行政は予算をなるべく超えないこと、などの目標がある。障害のある人のニーズと、事ぎょう者や行政の求めることは、いつもいっしょではない。相反することもある。そのとき、ほんとうの相だん支えん者は、事ぎょう者や行政ではなく、障害者の味方をしつづけるべきだ。そのためには、相だん支えん員の自立を守る予算を国は用意しなければならない。

 

 

 

項目C-2 障害程度区分の機能と問題点

論点C-2-1) 現行「自立支援法」の支給決定についてどう評価し、どういう問題点があると考えるか?また、その中で「障害程度区分」の果たした機能と、その問題点についてどう考えるか?

○結論

 支給決定は、まず本人のニーズからはじめるべきだ。今のしくみは、ニーズの前に「障害程度区分」と枠ぐみにあてはめてしまう。しかもこの枠ぐみには、いろいろなかたよりや限かいがあるのもあきらかだ。だから、このやり方はやめ、ニーズに基づいた支きゅう決ていのしくみにかえるべきだ。

 

○理由

 「障害程度区分」は身体能力の自立について、あるていど計ることができる区分だった。でも、理解することや決めること・選ぶことの難しさ、あるいは病状のゆれ・なみなどには使えなかった。多くの利用者のニーズが計れないのに、この区分にしばられている自治体は多かった。だから、この区分にこだわるのはやめ、新たなルールでの支きゅう決ていのしくみを考えるべきだ。

 

 

 

 

 

 

論点C-2-2) 「障害程度区分」と連動している支援の必要度及び報酬と国庫負担基準についてどう考えるか?特に、今後の地域移行の展開を考えた際に、24時間の地域でのサポート体制(後述)が必要となるが、そのための財源調整の仕組みをどう考えるか?

○結論

 これを参こうにしようねという基準は、これを守らなければならないという上限に、これまでなんども変わってきた。そのたびに、障害のある人たちは、怒りの声をあげてきた。同じことをくりかえさないためにも、基準をこえる支えんを必要とする人にちゃんと必要な量と質のサービスがとどくための基金を考えるべきだ。

 

 

○理由

 来年の予算はいくらくらいになるかわかっている必要がある。そして、障害のある人の福祉にかかる予算がいくらか、基準がないとわからない、という人がいる。たしかにそういう一面もあるが、それだけが正しいのではない。新法ができてからは、5年か10年の間はたしかに予算は毎年増えるだろう。でも、必要なニーズが満たされたら、予算の伸びはおさまる。高齢者と違い、障害者の数とわりあいは、ほぼ一定だ。90年代に高れい者福祉でゴールドプランを立てたように、どこかで予算を沢山用意して、不十分な地域の障害者福祉の状況をかえる必要がある。

 

 

項目C-3 「選択と決定」(支給決定)プロセスとツール

論点C-3-1) 第3回推進会議では、障害程度区分の廃止とそれに代わる協議・調整による支給決定プロセスのための体制構築についての議論がなされた。これらの点についてどう考えるか?

○結論

 障害程度区分をやめるならば、協議・調整のやり方をしんけんに考えるべきだ。今だって、程度区分だけでは判断できないので、障害者と支援者、自治体が話し合って支給決定している現実がある。区分にかわるものとして、何らかのガイドラインをその地域で定めた上で、それにそって自治体はきめることは十分に可能だ。

 

 

○理由

 先の参考資料(「地域主導による障害者支援プロセスのケーススタディ」研究報告書)をまとめる中で、スウェーデンでもアメリカでもイギリスでもなく、日本でほんとうに協議や調整にもとづいた支給の決定をしていた西宮市のことをしらべた。そして、この仕組みは、よその自治体でも使うことができるしくみだ、とわかった。できない(変えたくない)理由をたくさん言い訳するのではなく、できる理由をひとつ見つけ、やってみる努力をしたいものだ。

 

 

 

論点C-3-2) 「障害程度区分」廃止後の支給決定の仕組みを考える際に、支給決定に当たって必要なツールとしてどのようなものが考えられるか?(ガイドライン、本人中心計画等)

○結論

 ガイドラインや本人中心計画、だけでなく、障害者のエンパワメント支援をする機関や、行政や事ぎょう者から自立した相だん支えん者も必要だ。また、決ていが納得できない場合にはそれを審査してもらう場(不服申立機関)も必要だ。

 

 

 

○理由

 この仕組みについても、参考資料(「地域主導による障害者支援プロセスのケーススタディ」研究報告書)参照。

 

 

 

 

論点C-3-3) 支給決定に当たって自治体担当者のソーシャルワーク機能をどう強化するか?

○結論

 協議・調整のやり方をすすめるためには、自治体の担とう者がきちんと本人のニーズをわかることが必要だ。だから、自治体でその役をする人へのトレーニングは必要だ。ただ、一般的な自治体では2,3年にいちど、自治体の人は仕事がかわる(人事異動)。でも、この障害者福祉では、自治体担とう者にも専門性がもとめられる。だから、ほんとうは福祉の資かく(社会福祉士、精神保健福祉士など)を持っている人がになうべきだ。

 

 

○理由

 お年寄りの介ご保けん制度ができた10年まえは、福祉の人材がまだ十分に育っていなかった。だが、この10年で、福祉の資かくを持っている人はかなりふえた。自治体の職員の中でも、たくさんいる。そういう人が、専もん性を活かして働くことがたいせつだ。また、資かくをもっていない人にも、相だん支えん専もん員のようにトレーニングする仕組みをつくればよい。

 

 

 

 

 

 

 

 

論点C-3-4) 推進会議でも、不服審査機関の重要性が指摘されているが、どのような不服審査やアドボカシーの仕組みが必要と考えられるか?

○結論

 都道府県レベルに一つ、不服審査機関が必要だ。この不服審査機関はあくまでも、決められた支きゅう決ていに納得できない人のための機関である(事後救済機関)。それ以外のアドボカシーの機関は、別に作った方がよい。

 

 

 

○理由

 権利をまもるためのしくみは、いくつかにわかれる。支きゅう決ていに納とくできない人の権利をまもるためには、不服審査機関が必ようだ。だが、それいがいにも、たとえば病院や施せつ、グループホームなどでのぎゃくたいや権利しんがいの相だんの場が必ようだ。また、入院・入所している人の権利をまもるため、病院や施設をおとずれて、そこにいる人の相だんに応じるオンブズマンのような仕くみも必要だ。アメリカでは、不服審査以外の様々な権利をまもる役わりを、一つの公的権利ようご機かん(Protection and Advocacy: P&A)でおこなっている。これは国の法でぎむとお金がつけられ、州ごとにつくられた、行政からどくりつした機かんだ。このような機かんを日本でもつくる必ようがある。

 

 

 

項目C-4 その他

論点C-4-1) 「分野C 「選択と決定」(支給決定)」についてのその他の論点及び意見

○結論

 

 

 

 

○理由

 

 

 

 

 

 

投稿者: 竹端 寛

竹端寛(たけばたひろし) 兵庫県立大学環境人間学部准教授。現場(福祉、地域、学生)とのダイアローグの中からオモロイ何かを模索しようとする、産婆術的触媒と社会学者の兼業。 大阪大学人間科学部、同大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。山梨学院大学法学部政治行政学科教授を経て、2018年4月から現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。日々のつぶやきは、ツイッターtakebataにて。 コメントもリプライもありませんので、何かあればbataあっとまーくshse.u-hyogo.ac.jpへ。